歯周病

歯周病の進行に従って口の中でどんなことが起こっているの?

歯周病では口の中でどんなことが起こっているの?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

歯周病にかからないために、歯周病に関する知識を身につけましょう。歯周病の説明やセルフチェックの仕方についてご説明します。

歯周病はどんな風に起こるの?

歯周病の原因は?

歯周病の原因は、プラーク中に棲んでいる「細菌」です。歯に汚れがついてから2日程度たつと、歯の間や歯肉の周りにたまった汚れがネバついてきます。この中には細菌がたくさん繁殖しており、ネバネバした物質を出しながら、外から影響を受けにくい巣窟のような塊を作り出します。

これをバイオフィルムと呼びます。キッチンなど水回りの掃除をしないとヌメリがでてきますが、これも細菌が作り出したバイオフィルムです。歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)にバイオフィルムが形成されるとその中で細菌がどんどん増殖していきます。

歯周病を引き起こす悪玉菌は嫌気性菌といって、酸素を嫌う性質があります。そのため歯周ポケットの中は歯周病菌にとって快適な棲みかとなります。

これらの悪玉菌は、ヒトの血中タンパクや鉄などをエサとしており、歯肉の組織を破壊して出血させようとします。これが歯周病の始まりです。

歯肉の腫れから歯がグラグラまでどのようにつながっていくの?

歯周病の進行

歯周病菌に攻撃された人体は、免疫細胞を動員して細菌と戦います。悪玉菌である歯周病菌と身体の免疫細胞が戦った結果が、歯茎の炎症としてあらわれるのです。

歯肉が腫れたり赤くなったりするのはこのためです。歯周病にかかると、疲れたときなどに免疫が低下して歯肉が腫れたりするのも、細菌と免疫細胞のバランスの乱れによるものです。

細菌が歯肉の奥へとさらに侵入してくると、免疫細胞はより強力な防御をするためにサイトカインという物質を産生します。本来ならばサイトカインは正常な歯肉の維持に不可欠ですが、歯肉炎の部位で持続的に作り出されると、正常なバランスが崩れてしまい、歯周組織の破壊を引き起こします。

組織の破壊とは具体的には、歯周ポケットが破壊されて深くなり、歯を支える周りの骨が溶かされていきます。歯周病が進行すると歯がグラグラするのは、そのためです。

こんな症状はありませんか?歯周病チェック

困った顔

各自治体では、年齢別に無料の歯周病検査を行っていますが、調査の対象は全年齢ではありません。そのため、年齢にかかわらず、次のような歯周病の兆候がある場合は、歯の定期健診を受診することをおすすめします。

  • 歯磨きの時に出血する
  • 口の中が粘つき、気持ち悪いことがある
  • 疲れると歯肉が腫れる、違和感がある
  • 歯がグラグラしている
  • 硬いものが噛みにくくなった
  • 口臭が気になる、人に指摘された
  • 歯並びが年々変わってきて口元が出てきた
  • 歯に隙間がある

歯周病は世界一多くの人がかかっている病気として、ギネスブックにも記載されているそうです。日本人の中高年の半数以上が歯周病にかかっています。歯周病は予防可能ですので、歯周病のことをよく理解して予防しましょう。

歯周病の初期は自覚症状がないので注意!

歯周病は、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に細菌が感染して起こる炎症性の病気です。初期段階では痛み等がなく無症状の場合が多く、自分では気づきにくいため注意が必要です。

次第に症状が進んでくると、歯肉が炎症を起こして赤くブヨブヨした「歯肉炎」と呼ばれる状態になります。歯茎の僅かな炎症を見逃して、そのまま歯周病が進行してしまうと、歯周病菌が引き起こす炎症はより広がっていき、歯茎だけでなく歯を支えている大切な骨が溶かされてしまいます。

骨が溶かされた状態になると、歯がグラグラして食事がしにくくなり、歯並びが悪くなってきたりします。歯ぐきから血が出たり、膿が溜まって悪臭が起こることもあります。

最後は歯が抜け落ちてしまう怖い病気なので、定期健診で早期発見し、症状がごく軽いうちに治療を始めましょう。

歯周病を減らす・増やさないためのお口のケア

  • デンタルフロスや歯間ブラシを使う
  • 舌を清掃する
  • 入れ歯を清掃する
  • 歯科医院の定期健診(クリーニング)を受ける

まとめ

歯茎の腫れ

歯周病がどのように始まって、症状が進行していくのかについてご説明しました。歯周病は初期の段階であれば十分に治療が出来、完治させられます。健康な歯を守るためには、歯の定期健診を受けて、現在の歯と歯茎の状態を知るところから始めましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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