虫歯

高齢者に多い「根面虫歯」の予防法とメンテナンス

高齢者に多い「根面虫歯」の予防法とメンテナンス

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 清水 博行

高齢者に多い「根面虫歯」の予防法とメンテナンスは?

根面虫歯は、加齢や歯ぐきの下がりによって露出した歯の根元にできやすく、高齢者の歯を失う原因の一つです。予防には毎日の丁寧な歯磨きと、定期的な歯科でのメンテナンスが欠かせません。

この記事はこんな方に向いています

  • 高齢になって虫歯が増えてきたと感じる方
  • 歯ぐきが下がり、歯の根元が見えてきた方
  • 入れ歯や被せ物を入れていても長く歯を残したい方
  • 家族の口腔ケアに関心がある方

この記事を読むとわかること

  1. 根面虫歯が高齢者に多い理由
  2. 根面虫歯を予防するための日常ケアのポイント
  3. 歯科医院でのメンテナンス内容とその重要性
  4. 自宅でできる効果的なケア方法
  5. 予防を続けるための習慣化のコツ

 

根面虫歯はどうやって予防すればいいの?

根面虫歯は、高齢者の歯を失う大きな原因の一つであり、一度進行すると治療が難しい特徴があります。日常的な予防と、歯科医院での定期的なメンテナンスを組み合わせることで、歯を長く健康に保つことが可能です。特に根面はエナメル質がなく象牙質がむき出しのため、酸に弱く、虫歯菌の影響を受けやすい部位です。

根面虫歯は予防が最優先。日常ケアと歯科でのメンテナンスが欠かせません。

なぜ高齢者は根面虫歯になりやすいの?

加齢に伴って歯ぐきが下がると、歯の根元(象牙質)が口腔内に露出します。象牙質は酸に弱く、虫歯菌が作り出す酸によって溶けやすいため、根面虫歯が発生しやすくなります。

また、高齢者は唾液の分泌量が減少し、口腔内の自浄作用が低下するため、虫歯のリスクがさらに高まります。入れ歯や被せ物の隙間に歯垢がたまりやすいことも影響します。

歯ぐきの下がり、唾液減少、歯垢の付着が根面虫歯を増やす要因です。

主な原因

  1. 歯ぐきの退縮 → 歯根が露出して酸に弱い象牙質がむき出しになる
  2. 唾液の減少 → 酸の中和力や自浄作用が低下する
  3. 歯垢の停滞 → 入れ歯や被せ物周囲に汚れが残りやすい
  4. 加齢によるケア不足 → 手指の動きや視力低下で歯磨きが不十分になる

高齢者に根面虫歯が多いのは、単に「年齢のせい」ではなく、複数の要因が重なっているためです。そのため、複合的な予防アプローチが必要です。

自宅でできる根面虫歯の予防法は?

根面虫歯を予防する第一歩は、毎日の歯磨き習慣の見直しです。やわらかめの歯ブラシを使い、歯ぐきと歯の境目を意識して磨きましょう。歯間ブラシやデンタルフロスを併用し、歯と歯の間の汚れも除去します。さらに、フッ素入り歯磨き粉の使用や就寝前の念入りなケアが有効です。

歯ぐきと歯の境目の丁寧なケアが予防のカギです。

根面虫歯予防のセルフケア比較表

ケア方法 ポイント 効果 注意点
やわらかめの歯ブラシで歯ぐきと歯の境目を磨く 毛先を歯と歯ぐきの境目に45度で当て、優しく小刻みに動かす 象牙質や歯ぐきを傷つけずに汚れを落とす 強く磨きすぎると歯ぐき退縮や知覚過敏の原因になる
歯間ブラシの使用 歯と歯の隙間に合わせたサイズを選ぶ 歯間部の歯垢を効果的に除去 無理に入れると歯ぐきを傷つける恐れがある
デンタルフロスの使用 歯の側面に沿わせるように動かす 歯間ブラシが入らない狭い隙間の清掃に有効 急に引き抜くと歯ぐきを傷つけることがある
フッ素入り歯磨き粉の使用 1500ppm程度のフッ素濃度がおすすめ 再石灰化促進・酸への抵抗力アップ 使用後はうがいを軽くしてフッ素を残す
就寝前の丁寧な歯磨き 食後すぐではなく、寝る直前に念入りに磨く 唾液が減る就寝中の虫歯リスクを下げる 夜間の間食は控える

根面虫歯は歯冠部の虫歯より進行が早く、ケアの質が結果に直結します。特に歯ぐきと歯の境目は磨き残しやすく、虫歯の温床になりやすい部分です。
表の方法を参考に、自分に合った道具と磨き方を選び、毎日確実にケアする習慣をつけることが大切です。

ポイント

  1. やわらかめの歯ブラシを使用 → 象牙質を傷つけず優しく磨く
  2. 歯間ブラシやフロスを併用 → 歯と歯の間の歯垢を除去
  3. フッ素入り歯磨き粉 → 再石灰化を促進し、酸に強い歯に
  4. 夜の歯磨き強化 → 就寝中は唾液が減るため、寝る前のケアが重要

自宅でのセルフケアが根面虫歯予防の第一歩です。特に高齢者は、歯ぐきの境目を意識して磨く習慣をつけることが重要です。

歯科医院ではどんなメンテナンスをしてくれるの?

歯科医院でのメンテナンスは、根面虫歯の早期発見と予防に不可欠です。プロのクリーニングで歯垢や歯石を除去し、フッ素塗布や歯磨き指導を受けることで予防効果が高まります。目安として3~4か月ごとの定期健診がおすすめです。

定期的な歯科メンテナンスで予防効果を強化しましょう。

歯科での予防内容

  1. PMTC(専門的クリーニング) → 歯垢・歯石を徹底除去
  2. フッ素塗布 → 象牙質の耐酸性を高める
  3. 歯磨き指導 → 患者さんの状態に合わせた磨き方の提案
  4. 虫歯チェック → 早期発見・早期治療

歯科医院でのメンテナンスは、自己流のケアでは届かない部分をカバーし、予防効果を飛躍的に高めます。

生活習慣で根面虫歯の予防効果を高められる?

根面虫歯の予防は口腔ケアだけでなく、生活習慣の改善も必要です。砂糖や酸の多い食品・飲料の摂取を減らし、食後のうがいを習慣にしましょう。禁煙や適度な水分補給も、口腔環境を良好に保つために役立ちます。

食生活や全身管理も根面虫歯予防に重要です。

改善ポイント

  1. 砂糖・酸の摂取制限 → お菓子や炭酸飲料は回数と量を減らす
  2. 禁煙 → 歯ぐきの血流を改善し、抵抗力を高める
  3. 水分補給 → 唾液分泌を促し自浄作用を高める
  4. 規則正しい食事 → 間食を減らし、口腔内の酸性化時間を短縮

根面虫歯は口腔内だけでなく、生活全般の影響も受けます。食事や生活習慣の見直しは予防の基礎です。

根面虫歯を防ぐために何を続ければいいの?

根面虫歯は、日々の丁寧なセルフケアと定期的な歯科メンテナンスを組み合わせることで予防できます。高齢者でも口腔環境を整えることで、歯を長期間健康に保つことは可能です。歯を守るためには、毎日の小さな積み重ねが大切です。

セルフケアと歯科メンテナンスで歯を守りましょう。

まとめ

根面虫歯は、高齢者の歯を失う原因の中でも特に注意が必要なものです。象牙質が露出することで酸や虫歯菌に弱くなり、進行も早いため、「予防」と「メンテナンス」の両方が不可欠です。

今回ご紹介したポイントを整理すると、次のようになります。

  1. なぜなりやすいのかを知る
    → 歯ぐきの下がり、唾液量の減少、ケア不足が重なることでリスクが高まる
  2. 自宅での予防法を徹底する
    → やわらかめの歯ブラシ、フッ素入り歯磨き粉、歯間清掃を毎日続ける
  3. 歯科医院でのメンテナンスを習慣にする
    → 3~4か月ごとのPMTCやフッ素塗布で予防効果を高める
  4. 生活習慣を見直す
    → 砂糖や酸の多い食品の摂取制限、禁煙、水分補給で口腔環境を守る

高齢になっても自分の歯で食事を楽しむためには、日々の丁寧なセルフケアと歯科医院でのプロのメンテナンスが欠かせません。根面虫歯は一度できると治療が難しいため、「なってから治す」より「ならないように守る」意識が重要です。

今日からでも、歯ぐきと歯の境目を意識した歯磨きや、定期健診の予約を始めましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 清水 博行

大阪歯科大学卒業  日本補綴歯科学会  日本口腔インプラント学会

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