歯周病

歯周ポケットって何?検査方法とリスクを解説

歯周ポケットって何?検査方法とリスクを解説

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 清水 博行

歯周ポケットって何?

歯医者で「歯周ポケットが深いですね」と言われた経験はありませんか?

歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にできるすき間のことを指し、その深さが歯周病の進行度を示す重要なサインです。歯周ポケットが深くなると、歯を支える骨が溶けてしまい、最悪の場合は歯を失うリスクもあります。

この記事はこんな方に向いています

  • 定期健診で「歯周ポケットが深い」と言われて不安な方
  • 歯ぐきの腫れや出血が気になっている方
  • 歯周病の進行を防ぎたい方
  • 自分の口の健康状態を正しく理解したい方

この記事を読むとわかること

  1. 歯周ポケットとは何か、その役割と危険性
  2. 歯周ポケットの検査方法と基準
  3. 深くなることで起こるリスク
  4. 予防・改善のためにできること

 

歯周ポケットの深さは歯周病の進行を示す重要なサイン

歯周ポケットは、歯と歯ぐきのすき間にある小さな溝です。健康な状態では浅いのですが、歯周病が進行すると炎症や歯垢によって歯ぐきが下がり、溝が深くなります。深い歯周ポケットは細菌の温床となり、歯を支える骨を破壊してしまうため、早期の検査と治療が不可欠です。

歯周ポケットが深いほど歯周病が進行しているサイン。放置せず、早めの検査とケアが重要です。

歯周ポケットとはどんなもの?どんな役割があるの?

歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目にあるすき間のことです。健康な歯ぐきでは浅く、歯を守るクッションのような役割をしています。しかし歯垢や歯石がたまると炎症が起き、歯ぐきが腫れてポケットが深くなります。これは歯周病の初期症状であり、注意が必要です。

歯周ポケットは歯と歯ぐきの境目の溝。深くなると歯周病のサインです。

歯周ポケットの基本構造

  1. 歯と歯ぐきの境にある自然なすき間
  2. 健康な人では深さ1〜3mm程度
  3. 炎症が起きると4mm以上に拡大し、歯周病の進行を示す

歯周ポケットは、もともと歯と歯ぐきの接触部分に存在する自然な空間です。健康な状態では浅く、歯ブラシの毛先が届く範囲で清掃可能です。しかし歯垢が溜まり炎症が起こると、歯ぐきが腫れ、歯と歯ぐきの間に深いすき間が形成されます。これが「歯周ポケットの拡大」です。

歯周ポケットが深くなるほど、歯周病菌が内部で繁殖しやすくなり、歯を支える骨(歯槽骨)を徐々に破壊します。歯周病の進行度を判断するうえで、歯周ポケットの深さは最も重要な指標のひとつです。

歯周ポケットの検査方法は?痛みはあるの?

歯周ポケットの検査は「プロービング検査」と呼ばれ、専用の細い器具(プローブ)を歯と歯ぐきの間に差し込み、ポケットの深さをミリ単位で測定します。ほとんどの場合、痛みは軽度で短時間で終了します。定期的に測定することで、歯周病の進行を早期に発見できます。

専用の器具で歯と歯ぐきのすき間を測る検査。痛みはほとんどありません。

歯周ポケット検査の流れ

  1. 歯ぐきの状態を観察
    → 腫れや出血、歯石の付着を確認します。
  2. プローブで深さを測定
    → ミリ単位で6カ所(前・後・左右)を測定します。
  3. 数値の記録
    → 健康:1〜3mm/軽度歯周病:4mm/中等度:5〜6mm/重度:7mm以上

検査時の痛みや出血について

  • 軽いチクッとした感覚があることがあります。
  • 炎症が強い場合は少量の出血がみられることもあります。
  • 通常は数分で終わり、治療の一部として行われます。

歯周ポケット検査は、歯周病の早期発見のために非常に重要です。深さの変化を定期的にチェックすることで、治療の効果を確認し、再発防止にもつながります。

歯周ポケットが深いとどんなリスクがあるの?

歯周ポケットが深くなると、歯垢や歯石が奥まで入り込み、歯ぐきや骨が破壊されます。さらに細菌が血液を通して全身に影響を及ぼすこともあります。歯の揺れや歯ぐきの退縮、口臭なども進行のサインです。放置すると抜歯の可能性が高まります。

歯周ポケットが深いと歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。

歯周ポケットが深くなると起こる主なリスク

  1. 歯槽骨が溶ける → 歯を支える骨が破壊され、歯が揺れる
  2. 歯ぐきの退縮 → 歯が長く見えるようになる
  3. 口臭の悪化 → ポケット内の細菌が臭いを発生させる
  4. 出血・膿の排出 → 炎症が進み膿が出ることもある
  5. 全身疾患との関連 → 糖尿病・心疾患・誤嚥性肺炎などに関与

歯周ポケットは放置すると、局所的な口腔トラブルだけでなく、全身の健康にも悪影響を与えます。特に高齢の方や持病のある方は、全身疾患の悪化要因となることもあるため注意が必要です。

歯周ポケットを改善・予防するにはどうすればいい?

歯周ポケットを浅く保つためには、日常の正しい歯磨きと歯科での定期的なメンテナンスが欠かせません。歯垢や歯石をしっかり取り除くことで、炎症を抑え、ポケットを改善できます。

毎日のケアと歯科での定期的な清掃が、歯周ポケット改善の鍵です。

歯周ポケット改善のためにできること

  1. 正しい歯磨きの習慣
    → 歯と歯ぐきの境目を意識して優しく磨き、歯垢を除去します。
  2. デンタルフロス・歯間ブラシの活用
    → 歯ブラシで届かない部分を清掃し、細菌の繁殖を防ぎます。
  3. 歯科医院でのプロフェッショナルケア
    → スケーリング(歯石除去)やルートプレーニングで歯周ポケット内を清掃します。
  4. 定期健診の継続
    → 3〜6か月ごとにチェックを受けることで、再発を防止します。

これらの対策を続けることで、炎症が収まり、歯ぐきが引き締まってポケットが浅くなることがあります。特に歯科での清掃は、家庭では取り除けない歯石や深部の汚れを除去するために欠かせません。

歯周ポケットの深さと治療法の目安は?

歯周ポケットの深さに応じて治療内容は異なります。3mm以下は予防管理、4〜6mmでは歯石除去やルートプレーニング、7mm以上では外科的治療が必要な場合もあります。正確な検査と治療計画が歯を守る鍵です。

ポケットの深さで治療法が変わります。状態に応じた対応が重要です。

歯周ポケットの深さ 状態 主な治療法
1〜3mm 健康 定期健診・歯磨き指導
4〜6mm 軽〜中等度歯周病 スケーリング・ルートプレーニング
7mm以上 重度歯周病 外科的治療・再生療法の検討

上記のように、歯周ポケットの深さは治療方針を決定する重要な指標です。特に6mm以上の深さがある場合は、歯周外科治療で深部の歯石や感染組織を除去し、健康な歯ぐきを取り戻すことを目指します。

歯周ポケットを放置するとどうなる?早期発見の重要性

歯周ポケットを放置すると、歯周病が進行して歯の喪失につながるだけでなく、糖尿病や動脈硬化などの全身疾患を悪化させる可能性があります。痛みが出にくいため、定期的な検査での早期発見・早期治療が何より大切です。

放置は危険。自覚症状がなくても歯科で定期的にチェックしましょう。

放置によるリスク

  • 歯のぐらつき・脱落
  • 噛みにくさや発音の変化
  • 顎骨の吸収
  • 全身疾患への影響

歯周病は「沈黙の病気」とも呼ばれるように、自覚症状が少ないまま進行します。歯周ポケットの深さを定期的にチェックし、少しでも異常があれば早めに対応することが、歯を守る最善の方法です。

まとめ

歯周ポケットの検査で早期発見・早期治療を

歯周ポケットは、歯周病の進行を示す重要なバロメーターです。定期的な歯科健診で深さを測ることで、歯ぐきの健康状態を把握できます。深くなる前に適切なケアを行うことで、歯を長く守ることができます。

歯周ポケット検査は、歯を守るための第一歩。早期発見が最大の予防です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 清水 博行

大阪歯科大学卒業  日本補綴歯科学会  日本口腔インプラント学会

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