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歯周病だと風邪をひきやすいって本当?お口の健康と免疫の意外な関係

歯周病だと風邪をひきやすいって本当?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 清水 博行

「最近、やたらと風邪をひきやすい気がする…」
そんなふうに感じている方はいませんか?
実はその原因、お口の中にある“歯周病”かもしれません。

歯周病は、歯茎の炎症が進行することで歯を失うだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす感染症。近年の研究では、歯周病が免疫力の低下につながり、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こしやすくなるという報告もあります。

この記事では、

  1. なぜ歯周病が風邪を引き起こす原因になるのか
  2. どんな人がリスクが高いのか
  3. どうすれば防げるのか

といったポイントをわかりやすく解説していきます。

「体調不良が続く原因は歯ぐきだった」なんてこと、あるかもしれません。

歯周病が風邪を引き起こす原因になることがあります

風邪を引き起こす原因になることがある

歯周病が進行すると、口の中だけでなく全身の免疫にも悪影響を及ぼすことがあります。その結果、風邪を引きやすくなったり、体調不良が長引いたりすることも。意外に思えるかもしれませんが、口腔ケアは風邪予防のカギにもなるんです。

歯周病は風邪を引きやすくなる原因のひとつです。

どうして歯周病が全身の免疫に影響するの?

歯周病は細菌による感染症です。進行すると歯茎の炎症が慢性化し、そこから「炎症性物質」が血液を通じて全身に広がる可能性があります。これが免疫機能のバランスを崩し、風邪などの感染症に対する防御力が落ちる原因になります。

歯周病が原因で免疫が下がり、風邪にかかりやすくなることがあります。

主な要因は以下の通りです。

  1. 慢性炎症が続くことで免疫機能が疲弊する
    → 炎症が続くと免疫細胞が常に戦闘モードになり、本来の感染防御機能が低下することがあります。
  2. 炎症性サイトカインの全身への波及
    → 歯茎の炎症によって生まれる「サイトカイン」という物質が全身の免疫調整に悪影響を与える可能性があります。
  3. 口内細菌が気道へ侵入する可能性
    → 歯垢が多いと、唾液や気道から細菌が体内に入り込み、風邪のような症状を引き起こすこともあります。

こうしたプロセスが複雑に絡み合うことで、歯周病が風邪の一因になると考えられています。

歯周病が全身に及ぼす影響

影響部位 具体的なリスク 解説
呼吸器系 風邪・インフルエンザ・誤嚥性肺炎 歯垢内の細菌が気道に入り、感染症の原因になることがあります。
免疫系 感染症への抵抗力低下 歯茎の慢性炎症が全身の免疫を消耗させ、防御力を下げてしまうことがあります。
循環器系 動脈硬化・心筋梗塞のリスク上昇 炎症性物質が血管に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
代謝系 血糖コントロールの悪化(特に糖尿病の方) 歯周病による炎症がインスリンの働きを妨げるとされています。

このように、歯周病はお口の中だけにとどまらず、全身に影響を及ぼすことがあります。

出典:口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連(日本歯周病学会)

こんな人は要注意!歯周病と風邪を繰り返すリスクが高いタイプとは?

歯周病があると誰でも影響を受けますが、特に以下のような方は免疫力の低下が起きやすく、風邪も繰り返しやすい傾向があります。

歯周病+免疫力低下の条件が揃うと、風邪にかかりやすくなります。

注意が必要なタイプ

  1. 喫煙習慣がある方
    → 血流が悪くなり、歯茎の炎症も治りにくく、免疫力も下がります。
  2. 糖尿病のある方
    → 血糖コントロールが不良だと、歯周病が悪化しやすく、風邪にも弱くなります。
  3. 高齢者や妊婦さん
    → 年齢やホルモンの変化によって免疫が低下しており、歯周病からの影響も大きくなります。
  4. 歯磨きが不十分な方
    → 歯垢が溜まりやすく、炎症が慢性化しやすいです。

このような方は、歯周病による免疫への影響が大きく、風邪との関係も深まるため、特に注意が必要です。

歯周病と免疫力低下の関係を示す研究例

最近の研究では、歯周病と風邪、さらにはインフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症との関連も注目されています。口腔内の環境を整えることが、全身の免疫維持にも役立つことがわかってきています。

歯周病は免疫を弱め、感染症にかかりやすくなることが研究でも示されています。

研究からわかるポイント

  • 歯周病がある人は、肺炎や呼吸器感染症のリスクが高い
  • 歯周病治療後に、風邪の発症頻度が減ったという報告もあり
  • 高齢者施設での研究では、口腔ケアをしっかり行うことで風邪の予防効果が見られた例もある

このように、口の中の状態と風邪などの全身疾患は無関係ではないと考えられています。

関連リンク:T細胞免疫応答解析を基盤とした歯周炎と全身応答の関連解明

関連リンク:歯周病原細菌に対する歯周組織局所の免疫応答が及ぼす全身疾患へ …

今日からできる!歯周病と風邪を防ぐ習慣

歯周病も風邪も、予防がとにかく大事!日常の中でできるシンプルな習慣が、免疫を守る力になります。

毎日のケアで、口と全身の健康を守れます。

おすすめの習慣

  1. 1日2回の丁寧な歯磨き
    → 特に就寝前は念入りに。歯垢をしっかり除去しましょう。
  2. 歯間ブラシやフロスを併用する
    → 歯ブラシだけでは取りきれない部分の歯垢も落とせます。
  3. うがいや水分補給を習慣にする
    → 口腔内の乾燥を防ぎ、細菌の増殖を抑えます。
  4. バランスの良い食事と睡眠をとる
    → 栄養と休息が、免疫の土台になります。
  5. 定期的に歯科での健診とクリーニングを受ける
    → 歯周病の早期発見・予防が大きなカギです。

これらを日常に取り入れることで、口内環境を整えると同時に、全身の免疫力を底上げすることができます。

定期的な健診とプロのケアで全身の健康を守ろう

歯周病は目立たないうちに進行し、全身に影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、歯科医院での定期的な健診とプロのケアが重要です。風邪を引きやすい方ほど、口の中を整えることで免疫力の維持につながるかもしれません。

歯の健診は、風邪予防にもつながります。

歯周病は「お口の中のこと」として軽視されがちですが、実は全身の健康に深く関わっています。定期的に歯科医院でのチェックを受け、必要に応じて専門的なクリーニングを受けることで、風邪だけでなく、さまざまな病気の予防にもつながっていきます。

まとめ

歯周病と風邪、一見関係ないように思えるかもしれないけど、実は「免疫」というキーワードで深くつながっています。「風邪を引きやすくなったなぁ…」って感じている方は、もしかしたらお口のケアで改善するかもしれません。

歯周病を防ぐことは、全身の健康の第一歩となります。「たかが歯茎の炎症」とあなどらずに、毎日の歯磨き+定期的な歯科健診をしっかり続けていきましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 清水 博行

大阪歯科大学卒業  日本補綴歯科学会  日本口腔インプラント学会

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