歯並びが気になるけれど矯正治療が必要かどうかわからない方の場合は、まず矯正歯科に相談してみましょう。様々な検査によって、矯正治療が必要かどうかが診断されます。
矯正治療を受けるべき症状
歯並びの矯正治療を受けるべき不正咬合には以下のような症状があります。
1. 出っ歯・受け口
上の前歯が前方に突き出ているか、下の前歯が上の前歯よりも前に位置している状態。
・歯が出ているため、唇を閉じにくい
・唇を閉じるのに唇に力が入れるため、顎に梅干し皺ができる
・口元全体が出ている口ゴボの状態
・上の前歯と下の前歯の間が前後に5mm以上あいている
2. 過蓋咬合
上の前歯が下の前歯に大きく被さって下の歯が隠れてしまっている状態。
3. 開咬
奥歯を噛んだ時に前歯が上下に開いてしまって接触しない状態。
4. 交叉咬合
正常な咬合では上の前歯が下の前歯に少し被さった状態ですが、交叉咬合は前歯や奥歯の何本かが逆に交叉している状態です。片方の奥歯が交叉咬合の場合は顎をずらして噛む癖が付いているため、顔が歪むこともあります。
5. すきっ歯
歯と歯の間にスペースがあったり、歯と歯が離れている状態。
6. 叢生
顎が小さく歯が並ぶためのスペースが不足しているために、歯が詰まった状態で重なり合っている。
7. 正中線のズレ
上の前歯と下の前歯の中心が合っていない状態。
8. 捻転歯
捻転歯(ねんてんし)とは、歯が正常な位置から回転してねじれた状態で生えてしまっている状態です。
これらの不正咬合の症状の中には、主に見た目に問題がある場合と、見た目に加えて噛み合わせに問題があって咀嚼がしにくい、顎のずれ等の問題が起こっている場合があります。
顎関節に異常が起こると、全身に影響が及ぶ可能性がありますので、不正咬合が疑われる場合は、歯科医師に相談して、矯正治療の必要性や方法についてのアドバイスを受けることをおすすめします。
矯正歯科の治療前のチェック
歯並び矯正の治療前には、様々な検査が行われ、最終的な診断となります。これらのチェックは全て治療計画を立てるために参考にされます。
1. 視診
現在の歯並びや噛み合わせや歯茎の状態を、歯科医師が目で見て確認します。
2. 写真撮影
口腔内の状態を写真撮影します。口腔内に加えて、お顔の正面や側面からの写真を撮影する場合もあります。これらの写真は、今後治療が進んでいく際に歯並びの変化を比較するための資料となります。
3. レントゲン撮影
パノラマやセファロなどのレントゲン撮影を行い、歯の状態や顎の骨の状態を確認します。
4. 噛み合わせのチェック
上下の歯の咬合のバランスや噛んだ時の接触状態を確認します。
5. 虫歯や歯周病の有無の確認
むし歯や歯周病があった場合、矯正治療の前にまず虫歯、歯周病の治療が行われる場合が多いです。
これらのチェック以外に歯型を採取して模型を作製する場合もあります。
矯正歯科治療について | 公益社団法人 日本矯正歯科学会 (jos.gr.jp)
矯正歯科治療の期間はどの位かかる?
実際の治療期間は不正咬合の程度によって違いますので、はっきりと決まった期間は申し上げられませんが、歯全体を動かす全体矯正の場合は、平均2~3年程度です。
若い年齢の方は歯が動きやすい為、高校生くらいの患者さんは2年程度で治療を終える方が多い反面、20代以降の方は3年前後かかる場合もあります。
この矯正期間に加えて、歯列が後戻りを起こさないように安定させるための保定期間というものがあり、リテーナー(保定装置)を付けて頂きます。
矯正治療直後の歯は動きやすくなっているため、リテーナーをきちんとつけて頂かないと歯並びが少し元に戻ってしまいます。
まとめ
不正咬合の症状には出っ歯、受け口、過蓋咬合、開咬、交叉咬合、すきっ歯、叢生、正中線のズレ、捻転歯などがあります。
これらは見た目だけでなく噛み合わせや顎関節にも影響を及ぼす可能性があります。歯並びが気になる方は、歯科医師に相談して治療が必要かどうか確認しましょう。