笑気麻酔は無痛治療の一環として行われているもので、歯の治療に対して恐怖や不安の強い方に用いられます。歯医者が苦手な方はリラックスした状態で治療を受けられますし、健康保険が適用されますので、笑気麻酔を取り入れている歯科医院が増えてきました。
目次
笑気麻酔とは？
痛みに弱い方、治療中に緊張してしまう方、不安が強い方など、歯医者が苦手な方は案外多いものです。恐怖心や不安感の為に気分が悪くなったり、血圧が上昇したりすることもあり、治療に支障をきたしてしまうことが予想される場合は、笑気麻酔（しょうきますい）という鼻から吸入する麻酔をおすすめしています。
笑気麻酔は「笑気吸入鎮静法」とも呼ばれ、笑気という気体を鼻から吸い込み、鎮静、睡眠、鎮痛の作用によってリラックスした状態になり、痛みや不安を感じにくくするというものです。
笑気麻酔を吸っていただき、リラックスした状態になってから歯茎に局所麻酔を行いますので、治療のストレスをかなり緩和することが出来ます。
笑気麻酔の仕組みと効果
笑気麻酔の成分
笑気麻酔は主に亜酸化窒素（通称「笑気ガス」）を使用した麻酔法です。亜酸化窒素は鎮静作用があり、痛みや不安を和らげる効果があります。患者さんはリラックスしやすくなり、軽い多幸感を感じることもありますが、完全に意識を失うことはありません。
吸入による作用
笑気麻酔は専用のマスクを通してガスを吸入することで効果が得られます。麻酔の効果はすぐに現れ、手術後には麻酔がすばやく抜けるため、比較的短時間で日常生活に戻ることができます。
笑気麻酔を吸うとどんな気分になるの？
笑気麻酔によって不安や緊張がなくなり、軽く酔っているようなリラックス状態になります。効きやすさには個人差があり、感じ方も患者さんによって様々ですが、身体がぽかぽか温かくなったり、フワフワしたり、気持ちよく酔ったような感じになります。
笑気麻酔のメリット・デメリット
メリット
リラックス効果
笑気麻酔は特に歯科治療に対して不安や恐怖心を抱く患者さんに効果的です。手術中も患者さんはリラックスした状態を保ちつつ、医師とコミュニケーションを取ることができます。
即効性と回復の速さ
麻酔が速やかに効き、手術後も麻酔が速やかに抜けるため、通院治療にも適しています。処置後、すぐに日常生活に戻ることが可能です。
副作用が少ない
笑気麻酔は副作用が少ないため、全身麻酔に比べてリスクが低いとされています。
デメリット
強い鎮痛作用はない
笑気麻酔は痛みを完全に取り除く麻酔ではなく、鎮静効果を目的としています。そのため、局所麻酔と併用することが一般的です。
重度の恐怖症には不向き
極度の恐怖症や重度の不安を抱える患者さんには、笑気麻酔では十分な効果を得られないこともあります。この場合、より強力な鎮静法や全身麻酔が選ばれることがあります。
全身麻酔とどう違うの？
全身麻酔は完全に意識がなくなりますが、笑気麻酔は意識を保ったままでリラックス状態になります。患者さんは医師の呼びかけに答えることも出来ますので、患者さんの反応をみながら治療を行うことが出来ます。
意識の有無
笑気麻酔は意識を失わずにリラックスした状態を保つのに対し、全身麻酔は完全に意識を失い、痛みや感覚が全くなくなります。全身麻酔は大きな手術や侵襲性の高い治療に使用されます。
使用される薬剤の種類
笑気麻酔では亜酸化窒素を使い、軽度の鎮静を行いますが、全身麻酔では複数の薬剤を使って完全な鎮静と筋弛緩を行います。
リスクと管理の違い
全身麻酔は、笑気麻酔に比べて医師による厳密な管理が必要であり、患者さんの呼吸や心拍などをモニターする必要があります。また、全身麻酔は回復に時間がかかり、術後の経過観察が必要です。
静脈内鎮静とどう違うの？
笑気麻酔は鼻から吸入しますが、静脈内鎮静は点滴による麻酔で、痛みを和らげたりリラックスさせる作用のある薬を血管に入れて、手術の恐怖や不安を和らげます。
静脈内鎮静は笑気麻酔よりも効果が高く健忘効果があるため、歯科ではインプラント手術で、埋入本数が多い場合によく使われます。
笑気麻酔の流れ
- 笑気麻酔についての説明を行います
- 鼻から笑気を吸入します
- 数分で鎮静状態になります
- 歯科治療を開始します（痛みが出ることが予想される場合は局所麻酔も行います）
- 治療完了と同時に、笑気の吸入を中止します
- 10分程度様子を見て異常がなければお帰り頂けます
笑気麻酔が使えない場合は？
笑気麻酔が向いていない方は、以下のような方です。これ以外にも持病のある方は事前に必ず申し出て下さい。
- 鼻から笑気を吸うため、アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっている方は使えません
- 喘息等の呼吸器疾患のある人
- 体内に閉鎖腔のある病気（中耳炎、腸閉塞、気胸、ブラと呼ばれる肺の閉鎖腔）をもっている人
- 妊娠初期、授乳中の人
笑気麻酔の安全性
副作用のリスクが少ない
笑気麻酔は非常に安全な麻酔法とされており、使用後の回復も早いため、副作用が少ないとされています。吐き気やめまいがまれに発生することもありますが、一般的には軽微です。
アレルギー反応のリスクが低い
亜酸化窒素は体内で分解されないため、アレルギー反応を引き起こすリスクが非常に低いとされています。
笑気麻酔と全身麻酔の違いに関するQ&A
笑気麻酔とは、「笑気吸入鎮静法」とも呼ばれ、鼻から吸い込む気体である笑気を利用して、鎮静、睡眠、鎮痛の作用によって患者をリラックスさせ、痛みや不安を感じにくくする麻酔法のことです。主に歯科治療に使用され、痛みに弱い方や歯医者が苦手な方に向いています。
笑気麻酔と全身麻酔の違いは、意識の状態にあります。笑気麻酔は意識を保ったままでリラックス状態になりますが、全身麻酔では完全に意識を失います。笑気麻酔は歯科治療などで使用され、意識を失わずに治療が行える一方、全身麻酔は手術などの場合に用いられる方法です。
笑気麻酔と静脈内鎮静の違いは、麻酔の方法にあります。笑気麻酔は鼻から気体を吸入する形式であり、対して静脈内鎮静は点滴による薬物麻酔です。静脈内鎮静は効果が強く、健忘効果もあるため、歯科ではインプラント手術などによく使われます。
まとめ
恐怖や不安が強く、歯の治療が心配な方は、笑気麻酔という軽いリラックス状態を作り出す吸入式の麻酔がありますので、ご予約時にスタッフにご相談ください。
