
これは疑問に思われている方が多いご質問ですが、歯科医師に面と向かっては聞きづらいようで、直接質問を受けることはあまりありません。しかし、大切なことなので、ぜひ知っていただきたい内容です。
答えは「はい、中断は避けるべき」です。根管治療は中断してしまうと歯や全身の健康に深刻な影響を与えることがあります。
この記事は、以下のような方におすすめです。
- 忙しくて治療の通院を後回しにしている方
- 痛みがなくなったから治療をやめてもいいと思っている方
- 根管治療の重要性を改めて理解したい方
- この記事を読むとわかること
- 根管治療を中断したときの具体的なリスク
- なぜ最後まで治療を続ける必要があるのか
- 治療を継続するための心構えや対策
根管治療は歯を抜かずに残すための大切な治療ですので、最後まできちんと受けて頂きたいと思います。
目次
根管治療の中断は絶対に避けましょう

根管治療を途中でやめると、痛みの再発や歯の保存が困難になるだけでなく、体全体への悪影響にもつながる恐れがあります。最終的な被せ物が装着されるまでが治療です。
根管治療は中断すると再発や抜歯のリスクが高まるため、最後まで続けることが重要です。
根の中の感染は目に見えないまま進行する
根管内は非常に複雑で、すべての感染源を取り除くには時間がかかります。途中で治療を止めてしまうと、目に見えない細菌が活動を再開し、静かに炎症を広げていくのです。
見えない細菌が残ることで炎症が再発し、悪化するおそれがあります。
中断によって起こる4つのリスク

根管治療を中断すると、口の中だけでなく全身にも悪影響を及ぼすことがあります。以下に代表的な4つのリスクをご紹介します。
根管治療の中断には主に4つのリスクがあります。
中断によって考えられるリスク一覧
リスク | 内容 |
---|---|
痛みの再発 | 感染が再び広がり、強い痛みが戻る可能性があります。 |
歯の破折 | 仮の詰め物のままだと歯がもろくなり、折れやすくなります。 |
感染の拡大 | 根の先からあごの骨へ炎症が広がり、膿がたまることもあります。 |
最終的に抜歯が必要に | 治療不能となり、抜歯しか選択肢がなくなることもあります。 |
根管治療を途中でやめてしまうと、以下のような深刻なリスクが生じる可能性があります。それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
1. 痛みの再発
根管治療の途中では、歯の中の感染源を完全に取り除ききれていないことがあります。治療を中断すると、残っていた細菌が再び活動を始め、数週間〜数か月のうちにズキズキとした強い痛みが戻ってくることがあります。
「最初は楽になったからもういいや」と思って放置してしまうと、むしろ痛みが悪化してしまう危険があるのです。
2. 歯の破折(ひのはせつ)
治療中の歯は神経がなくなっていてもろくなっています。しかも、仮の詰め物で一時的にふたをしている状態では、十分な強度はありません。
この状態で硬いものを噛んだり無理な力が加わると、歯が割れてしまうことがあります。破折してしまうと、もう元に戻すことは難しく、多くの場合は抜歯となってしまいます。
3. 感染の拡大
根の中に細菌が残ったまま放置すると、感染が根の先端からあごの骨へと広がってしまいます。その結果、歯ぐきが腫れたり、膿がたまってしまうことも。
ひどい場合には、顔が大きく腫れたり、熱が出るなど、全身の症状につながることもあるため要注意です。
4. 最終的に抜歯が必要になる
根管治療は、歯を残すための「最後のチャンス」ともいえる治療です。
しかし途中でやめてしまうと、感染が再発し、炎症が広がり、歯を支える骨までダメージを受けてしまうことがあります。こうなると、歯を抜くしか選択肢がなくなることもあり、せっかくの歯を失う結果になってしまいます。
治療を中断せず、最後まで続けることが歯を守る近道!
これらのリスクは、いずれも治療を継続していれば防げるものです。
仮の詰め物のまま放置したり、痛みが引いたことに安心して通院をやめてしまうのは非常にもったいないこと。根管治療は「完了」して初めて効果を発揮するので、通院の大切さを改めて意識してみてください。
根管治療が必要になった場合、ぜったいにしなくてはだめなの?
根管治療が必要と診断された場合、そのまま放置してしまうと、歯の内部で細菌感染が進行し、最終的には抜歯につながるリスクがあります。歯を残すための“最後のチャンス”ともいえる治療なので、放置はおすすめできません。
根管治療は、歯を残すために欠かせない大切な治療です。
根管治療を選ばずに放置するとどうなる?
放置すると以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 歯の痛みが強くなる
→ 初期は鈍い痛みでも、放置するとズキズキとした強い痛みに変わることがあります。 - 根の先に膿がたまる
→ 感染が進むと歯ぐきに腫れや膿が生じ、顔が腫れることも。 - 歯の保存が不可能になり、抜歯となる
→ 根管治療で助けられるはずの歯が、抜くしかない状態になることもあります。
他の選択肢はあるの?
根管治療の代わりとして「抜歯してインプラント・ブリッジ・入れ歯にする」という方法もありますが、それぞれにデメリットもあります。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
根管治療 | 自分の歯を残せる | 治療回数がかかる |
抜歯+インプラント | 見た目・噛む力を再現しやすい | 費用が高く、外科手術が必要 |
抜歯+ブリッジ | 比較的短期間で治療できる | 両隣の健康な歯を削る必要あり |
抜歯+入れ歯 | 保険適用で費用を抑えられる | 違和感や咀嚼力の低下がある |
歯は「削ったら終わり」ではなく、「残せたらラッキー」
一度削った歯や神経を取った歯は、もろくなってしまいます。そのため、「今ある歯をどれだけ長く残せるか」がとても重要。根管治療は、そのための大事なステップです。
根管治療は、感染した歯を救うための最終ラインの治療です。痛みがなくなったからといって放置せず、歯を守る選択肢として前向きに受けることが、将来の健康と経済的負担の軽減につながります。
根管治療の流れ → どんなことをするのか知っておこう
根管治療は複数回にわたって行う治療で、歯の中の感染した神経を取り除き、内部をきれいにしてから密閉・補強していく工程です。一つひとつのステップに意味があり、どれかを飛ばすと歯の保存が難しくなります。
根管治療は「神経を取る→内部を清掃→密閉→被せ物で補強」という流れで進みます。
根管治療の基本的なステップ
ステップ | 内容 |
---|---|
1. 診査とレントゲン撮影 | 歯の状態を確認し、感染の範囲を把握します。 |
2. 神経の除去 | 感染した神経(歯髄)を取り除きます。 |
3. 根の中の清掃と消毒 | 細い器具を使い、根管内を丁寧に清掃・消毒します。 |
4. 根管の充填(密閉) | 清掃した根管を薬剤でしっかりと封鎖します。 |
5. 被せ物の装着 | 歯を割れや再感染から守るために被せ物を入れます。 |
各ステップの大切なポイント
- 途中で止めると清掃・消毒が不十分なまま終わってしまい、再感染の原因に。
- 根管の密閉が完了していないと、歯の内部に細菌が入り込みやすくなります。
- 被せ物が装着されて初めて、歯の強度と密閉性が確保されます。
このように、根管治療は「1回で終わる処置」ではなく、「複数のステップを踏んで歯を守るための大切な治療プロセス」です。途中での中断は、歯の寿命を大きく縮めることになるため、治療が完了するまでしっかり通院しましょう。
なぜ仮の詰め物では不十分なのか?
根管治療の途中では、仮の詰め物を使って一時的に蓋をしています。これはあくまで一時的な処置であり、長期間放置すると細菌が再び侵入する原因となります。
仮の詰め物では長期的な密閉はできず、再感染のリスクが高まります。
どうしても通えない場合の相談方法
どうしても仕事や体調の都合で通えない時は、そのままにせず必ず歯科医院に連絡しましょう。状況に応じて、感染を防ぐ応急処置やスケジュール調整をしてくれる場合もあります。
通院が難しいときは放置せず、歯科医院に相談することが重要です。
忙しい人でもできる工夫
- 先にまとめて治療スケジュールを組んでもらう
→ 計画的に予約を入れて通いやすくする - 土曜診療や夜間対応の歯科医院を選ぶ
→ 生活リズムに合わせて無理なく通院 - 痛みがなくても必ず最終処置まで受ける
→ 被せ物までしっかり装着することで再感染を予防
このように少しの工夫で、治療の完了までスムーズにたどり着くことができます。
まとめ
根管治療は「最後まで」が大前提!
根管治療は「歯の神経を取ったら終わり」ではなく、「被せ物まで入れて完了」です。途中でやめてしまうと、せっかくの治療が無駄になるだけでなく、歯の寿命を縮めてしまう結果にもつながります。
根管治療は最後まで続けることが、歯を守る一番の近道です。