歯と口のトラブル

親知らずを抜くと小顔になる?真相を歯科目線で解説

親知らずを抜くと小顔になるという話を聞いたことはありませんか。抜歯後にフェイスラインがスッキリしたと感じる人もいますが、誰にでもはっきりした変化が出るわけではありません。親知らずの抜歯は美容整形のような大きな変化は期待しにくく、効果には個人差があり、基本的には輪郭や表情が少し引き締まって見える程度と捉えておくのが安心です。この記事では、親知らず抜歯で小顔になると言われる理由や、小顔に見えやすい人の特徴を分かりやすく解説します。

親知らずを抜いても骨格は基本変わらない

親知らずを抜くと小顔という話を見かけると、抜歯でエラが削れるようなイメージを持つ方もいます。結論として、親知らずを抜いたからといって顎の骨格が物理的に小さくなるわけではないです。親知らずは第三大臼歯や智歯(ちし)と呼ばれる後方に位置し、抜いた歯のスペースがそのまま顔の輪郭として大きくへこむことはありません。歯の本数が減ることが必ずしも小顔になるというわけではなく、抜歯後に顔がスッキリしたと感じる人がいるのも事実です。

骨格が変わるのではなく、見え方が変わるケースがあるという点がポイントです。

親知らずを抜くと小顔と感じる主な理由

親知らずの抜歯で小顔になったように見える理由は、ざっくり言うと次の3つが中心です。

  • もともとあった炎症や腫れやむくみが改善した
  • 親知らず由来の噛みづらさが減り、エラ周りの筋肉の咬筋のバランスが整った
  • 片側噛みなどの癖が変わり、左右差が目立ちにくくなった

炎症やむくみが取れて本来の輪郭に戻る

親知らずは半分だけ出ていたり、斜めや横向きに埋まっているとブラッシングしづらく、歯周病のような智歯周囲炎を起こしやすい歯です。炎症が続くと、本人が自覚しないレベルで顎まわりが腫れて、輪郭がぼやけることがあります。抜歯によって炎症の原因が解消されると、むくみが引いて小さくなったように見えることになります。これはサイズが縮んだというより、元に戻ったと捉えるほうが近いです。

噛み合わせや噛み癖が変わり、筋肉の張りが和らぐ

親知らずが斜めに当たっていたり、噛むと違和感があると、無意識に片側ばかりで噛み、力をかけ過ぎたりすることがあります。それにより、エラ付近の咬筋が緊張して張って見えることもあります。抜歯後に噛み方の偏りが軽くなると、筋肉の使い方が分散して、フェイスラインがシャープに見える場合があります。

違和感が減ることで食いしばりが弱まることも

親知らずがあることでなんとなく噛みづらい、もしくは奥で引っかかる状態が続くと、顎周りに余計な力が入りがちです。抜歯後にこのような違和感が減ると、結果的に食いしばりの頻度が下がり、筋肉の張りが落ち着く人もいます。これは個人差が大きいものの、筋肉の張りが落ち着くことで見た目が変わったと感じる要因になりえます。

医学的にはどう?研究結果による顔が小さくなる限界

結論から言うと、抜歯で誰が見ても分かる小顔変化が起きるとは言いにくいです。第三大臼歯抜歯前後の顔面変化を3Dで測定した研究では、抜歯側の骨などの体積変化は観察された一方、頬部の皮膚や脂肪などの変化は明確でなく、肉眼で判別できるほどの顔が痩せた変化は起こりにくいという議論があります。つまり、ネットでよくある親知らずを抜けば小顔になるという情報は、医学的には疑問があります。変化があるとすれば、むくみや炎症が引いた、筋肉の緊張が整ったなど、間接的な変化が中心です。

小顔目的で抜歯OK?メリットより先に知るべきリスク

親知らずを抜くことを小顔目的で抜歯を検討する人がいますが、美容目的だけでの抜歯はおすすめできません。抜歯は医療行為で、特に下顎の親知らずは神経や血管が入っている下顎管との距離が近く、難易度やリスクが上がることがあります。起こりうる代表的なリスクと負担は次の通りです。

腫れ、痛み

  • 数日~1週間程度を目安に落ち着くことが多い
  • 発熱や増悪する腫れという症状が長引く場合は要注意

口が開けにくい、食事がしづらい

  • 抜歯した周辺の腫れや炎症が口を開閉する咀嚼筋にまで広がり、筋肉がこわばり、口が開けにくい
  • この症状は一時的なことが多い

ドライソケット

  • 抜歯した穴にできる血の塊の血餅(けっぺい)ができず剥がれて骨が露出し、強い痛みが生じる状態
  • 通常ならば痛みが引く3~5日後から痛みが増し、放置すると1ヶ月ほど続くこともある

虫歯や歯周病などの原因になる親知らずなら、抜歯によって炎症の再発を防げ、他の歯を守れるなどメリットは大きいです。

小顔に見えやすい人と見えにくい人の傾向

同じ親知らずの抜歯でもスッキリしたと感じる人と、まったく変化を感じない人がいます。これは骨格、筋肉、炎症の有無が違うからですが、小顔に見えやすい人と見えにくい人を表にまとめてみました。

小顔に見えやすい人 小顔に見えにくい人
親知らず周辺で炎症や腫れを繰り返し、むくみが引くと印象が変わりやすい 親知らずがまっすぐ生えて機能している、炎症もない
親知らずが原因で片側噛み、噛みづらさがあり、咬筋の緊張が偏っている 顔の輪郭が骨格要因による比重が大きい
エラ張りが筋肉由来で、食いしばり傾向がある もともと噛み合わせや噛み癖に大きな問題がない

小顔に見えるのが必ずしも成功ではないことと、親知らずでも抜くべき歯と残してよい歯があることは大事なポイントです。口腔内の状態を確認し、リスクも含めて判断することがすべてです。

抜歯後の腫れや経過の目安と、フェイスラインが落ち着くまで

抜歯後すぐに鏡を見て顔が大きくなったのではと焦る人は多いです。術後反応としての腫れであることが多く、一般的な経過のイメージは次の通りです。

術後1~3日頃は腫れのピーク
数日~1週間程度で腫れが落ち着く目安
2~3週間位で違和感が薄れ見た目の印象が整い変化を感じるケースあり

抜歯後のセルフケアは医院の指示を最優先し、口腔内を清潔にして指示された薬を正しく使うことが回復への早道です。ネットの情報や自己判断の強いうがいは逆効果になる可能性が高いため、必ず歯科医師の指示に従ってください。

こんな時は歯科医院で診察を受けるべき

時間が経つほど悪化する腫れや強い痛みがあり、72時間を過ぎても症状が増し、38℃以上の発熱、膿っぽい感じがあれば、感染や合併症の可能性が考えられます。このような症状については、診察時に時間と痛みの状態を細かく歯科医院へ伝えましょう。

よくある誤解Q&A

親知らずを抜くときの誤解について、挙げてみましょう。

質問 回答
Q1.片方だけ抜くと顔が歪みますか? 片側だけ抜歯=必ず歪むとは言い切れません。骨格、噛み癖、姿勢、筋肉の使い方など複数要因が関係して左右差があり、抜歯はきっかけになる可能性はあっても、それだけで決まる話ではありません。気になる方は噛み合わせや生活習慣も含めて相談すると安心です。
Q2.頬がこけて老けますか? 抜歯で頬の脂肪が急に消えるわけではありません。軟組織の変化は肉眼で分かるほど起きにくいとされます。術後しばらくは腫れが引いた反動や食事量低下による体重減少でやつれたと感じる場合はありますが、多くは回復とともに戻ります。不安なら術後チェックで相談しましょう。
Q3.親知らずを抜けば小顔になるなら抜いた方が得? 小顔だけを目的に抜くのはおすすめしません。抜歯にはリスクと回復期間があり、目的は炎症予防や周囲の歯へのダメージを防ぐこと、将来のトラブル回避のためであるべきです。

後悔しないためのチェックリスト

抜く、抜かないを考えるうえでの実用的なチェックリストです。該当する部分が多ければ、親知らずの抜歯相談の優先度は上がると覚えておきましょう。

親知らず周辺が腫れて痛むことがある
半分だけ出て歯ブラシが届かず、汚れが溜まりやすい
親知らずや手前の歯が虫歯になりそう、もしくはなっている
横向きや斜めに生え、手前の歯を押していると言われた
矯正治療などでスペースや清掃性の問題がある
口を開けにくい、顎が痛いなど顎関節への負担が疑われる

親知らずを抜くメリット、親知らずの埋まり方や神経との距離で難易度、想定される腫れの予測、 噛み合わせや食いしばりの癖、ケアや改善方法など確認すべきです。親知らずの相談時に尋ねてみると良いでしょう。

まとめ


親知らずを抜くと小顔という噂は、骨格を小さくするという意味で基本的に正しくありません。一方で、炎症やむくみが取れたり、咬筋の緊張バランスが整ったりして、フェイスラインがスッキリ見える人がいるのは確かです。抜歯は医療行為なので、判断基準は美容ではなくトラブル予防と周囲の歯を守れるかという点です。まずは口腔外科、歯科で診断を受け、自分の親知らずが抜くべきタイプかを確認するのがいちばん安全です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 清水 博行

大阪歯科大学卒業  日本補綴歯科学会  日本口腔インプラント学会

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック