歯と口の基礎知識

奥歯の平均寿命は何年くらい?

奥歯の平均寿命は何年くらい?

奥歯は食べ物をしっかり噛むためには欠かせない歯です。硬い、または大きい食べ物は奥歯が細かく砕くことでスムーズに消化出来るようになります。また、奥歯は歯並びのバランスを保ち、発音の良さにも影響を与えます。奥歯の平均寿命や長く持たせるためにはどうすれば良いのかご説明します。

奥歯の平均寿命は約50年

奥歯

大臼歯と呼ばれる奥歯の平均寿命は50~58年といわれ、前歯と比べて10年以上寿命が短いため、注意が必要です。奥歯が生えるのは10歳頃なので、60~70歳くらいで大臼歯を失う人が多いということになります。

なぜ奥歯は他の歯よりも早くダメになるのでしょうか? 奥歯は咬合面に細い溝が何本も複雑な形に走っており、そこに歯垢などの汚れがたまりやすいうえ、歯ブラシの毛先が届きにくいという問題があります。

そのため大臼歯は磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。虫歯が進行すると神経を取る治療が必要になりますが、前歯は歯の根が1本であるのに対し、大臼歯は3本もあり、根の治療が複雑になります。奥歯には前歯と比べて噛む時に強い力がかかることもあり、前歯よりも傷みやすいといえます。

奥歯を長もちさせるためには補綴の種類が重要

奥歯の平均寿命についての具体的な研究結果の中で、特に注目すべき点は、CAD/CAMによるレジンコンポジットクラウンが奥歯に適用された場合の臨床成績です。日本では、2014年からこの種のクラウン治療の一部が保険でカバーされており、金属価格の上昇やレジンの低アレルギー性により、金属フリーの審美的な歯科治療への需要が高まっています。

ただし、奥歯への適用は第一大臼歯に限られており、さらにその適用は第二大臼歯に咬合支持がある患者に限られるという条件があります。

研究によると、CAD/CAMコンポジットクラウンの成功率と生存率は、プレモーラー領域でそれぞれ71.7%と96.4%であり、主な合併症は装着後6ヶ月以内のクラウンの脱落でした。【PLOS

これらの情報から、奥歯の平均寿命には使用される材料や技術、さらには患者の特性によって大きな差があることが分かります。各種の材料や技術の選択が、機能的寿命にどのように影響を与えるかを理解することは、より効果的な治療計画を立てる上で重要です。 [PLOS ONE]

奥歯の寿命を左右する要因

奥歯が健康に機能する年数は人によって異なりますが、適切なケアと予防策によって一生使い続けられる人もいます。

奥歯の寿命は個人の口腔衛生状態や生活習慣、遺伝的要素、食事内容、定期的な歯科健診の有無などに依存します。

1. 正しい歯磨きと歯科健診の重要性

正しい歯磨き方法とデンタルフロスの使用は、歯垢がたまるのを防ぎ、歯周病や虫歯のリスクを減らします。定期的な歯科健診では、歯の問題を早期発見しやすくなるため、簡単で効果的な治療を行うことが出来ます。

2. 食生活の影響

砂糖や酸性の高い食品は歯のエナメル質を溶かし、虫歯を引き起こす主な原因になります。一方、カルシウムやビタミンDが豊富な食品は歯を強化し、健康を維持するのに役立ちます。

3. 年齢と関連する問題

歯の摩耗や歯周病は、加齢と共に一般的に増加します。これらの問題を予防することで、奥歯の寿命を延ばすことができます。

奥歯の寿命を延ばすための日常ケア

奥歯の寿命を延ばすための日常ケアは、適切なお口のセルフケアから始まります。奥歯の健康を保ち、寿命を最大限に延ばすためには以下のような点に気を配りましょう。

1. 正しい歯磨き方法の実践

  • 歯ブラシは柔らかめのものを選び、歯と歯茎の境目に歯ブラシを45度の角度で軽く当てて優しく磨きます。
  • 歯の裏側も丁寧に磨くことが重要です。ヘッドの小さい歯ブラシを使うと奥まで届きやすいです。

2. デンタルフロスの使用の習慣化

  • 一日一回、特に夜の歯磨きの前にデンタルフロスを使って歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢や食べ物のカスを除去します。
  • フロスは歯と歯の間だけでなく、歯の面や歯茎のラインにもやさしく当ててプラークを取り除きます。

3. 定期的な歯科健診

  • 専門家による定期的なチェックとクリーニングで、初期の虫歯や歯周病が発見しやすくなり、直ぐに適切な治療を行うことが出来ます。
  • 年に2~4回の定期健診を受けることが理想的です。健診の頻度は歯科衛生士に尋ねましょう。

4. バランスの良い食事

  • 砂糖や酸性の食品を避け、歯を健康に保つための栄養素を多く含む食品(野菜、果物、全粒穀物、タンパク質)を積極的に取り入れます。
  • 食後に水を飲むと、口の中が酸性に傾いた状態を中和し、歯のエナメル質を保護します。

5. 喫煙やアルコールの摂取を控える

  • 喫煙は歯周病のリスクを高め、歯の寿命を縮める要因となります。アルコールは口内の乾燥を起こし、細菌が繁殖しやすくなります。

これらの日常的なケアを通じて、全ての歯の健康を保ち、寿命を延ばすことができます。

食生活が奥歯に与える影響

食生活は歯の健康に直接的な影響を与えます。砂糖や酸性の高い食品は歯のエナメル質を溶かし、虫歯の原因となることが多いです。一方で、カルシウムやビタミンDが豊富な食品は、歯と歯茎を強くし、健康を維持するのに役立ちます。奥歯の健康を保つためには、バランスの取れた食事を心がけましょう。

加齢によって起こる奥歯の問題

年齢を重ねると自然な歯の摩耗が積み重なってきますが、これに加えて歯周病に注意が必要です。歯周病は、適切な予防や治療を行わないと、歯を失う原因となる可能性があります。天然歯を守るためには、定期的な歯科健診によるプロケアと、毎日の正しい歯磨き習慣が重要です。

1. 歯の摩耗

歳を重ねるとともに、咬む力や食べ物の硬さによる影響で歯の表面が徐々に摩耗していきます。特に奥歯には咀嚼の大きな力がかかるため、摩耗が起こりやすいです。

2. 歯周病

歯周病は細菌による感染症で、歯を支える骨や歯肉に炎症が起こる病気です。一般的に、歯垢の蓄積や加齢による身体の免疫反応の変化によって、歯周病になるリスクは高まります。歯周病が進行すると、歯がグラグラしてきて、歯が抜けてしまいます。

3. ドライマウス(口腔乾燥症)

高齢者にはドライマウスが起こることがあり、唾液の分泌量が減少して口の中が乾燥しやすくなります。唾液には抗菌作用があって、虫歯や歯周病の予防に寄与しているため、唾液の減少はこれらの問題を引き起こす原因となります。

4. 根面う蝕(歯の根の虫歯)

歯茎が後退して、今まで歯茎の中に埋まっていた歯根が露出することで起こる虫歯です。歯根の部分はやわらかい象牙質で、エナメル質で覆われておらず、虫歯になりやすいです。

歯茎の退縮の原因

歯茎の退縮の原因にはいくつかあり、中には避けられるものもあるため、ご説明します。

  1.  歯磨きの方法が悪い・・強い力で歯磨きをし過ぎると、歯茎の退縮が起こります。硬いブラシも歯茎を傷つけて後退させる原因となります。
  2. 歯周病・・歯垢の中の細菌が原因で起こる感染症で、歯茎に炎症が起こり、歯肉を後退させます。
  3. 歯槽骨が薄い・・骨の厚みが薄いために歯が骨からはみ出すように生えている場合、歯茎の退縮が起こることがあります。
  4. 歯茎が薄い・・歯茎が人より薄く、歯茎が痩せやすい。
  5. 詰め物や被せ物が合っていない・・詰め物や被せ物がフィットしていない場合、被せ物による刺激で炎症が起きて歯茎の退縮に繋がることがあります。
  6. 喫煙・・喫煙は歯茎の血行を悪くして歯茎の健康に悪影響を及ぼします。
  7. ホルモンの変動・・特に女性の場合、ホルモンの変動(妊娠、更年期など)が歯茎の健康に影響を与えることがあります。
  8. 糖尿病・・糖尿病は感染に対する抵抗力を低下させ、歯周病を引き起こしやすくします。

奥歯の寿命に関する論文の紹介

奥歯の平均寿命に関する具体的な研究は多岐にわたりますが、一般的に、歯の平均寿命はさまざまな要因によって異なります。特に注目すべき研究の一つは、Soay sheepの研究で、その歯の形態がどのようにして長い機能期間を保証するかが詳細に説明されています。この研究では、Soay sheepの奥歯のクラウン形成期間が220日から300日であり、これが歯の機能期間を4年から6年に延ばす要因となっていることが示されています。この長い形成期間は、歯が長持ちするための適応的価値を提供しています。

この研究についての詳細は、以下のリンクから確認することができます:
[BMC Ecology and Evolution]

また、別の研究では、人間の多根歯(特に奥歯に関連する)の長期的な生存率に影響を与える様々な因子が評価されています。これには患者固有のリスク要因、歯自体の特性、そして治療を行った歯科医師の技術が含まれます。これらの研究は、奥歯の健康と寿命を維持するために、適切な口腔衛生と定期的な専門的ケアがいかに重要かを示しています。

この研究についての詳細は、以下のリンクから確認することができます:
[European Journal of Orthodontics]

奥歯の平均寿命に関するQ&A

奥歯の平均寿命はどれくらいですか?

奥歯の平均寿命は50~58年とされています。奥歯は約10歳頃に生え始めるため、60~70歳頃で失うことが一般的です。前歯に比べて寿命が短い理由としては、歯垢が溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高いことが影響しています。また、奥歯は咬む力が強くかかるため、前歯よりも早く傷みやすいことも寿命を短くする要因です。

奥歯の寿命を左右する要因は何ですか?

奥歯の寿命を左右する要因には、口腔衛生状態、生活習慣、遺伝的要素、食事内容、定期的な歯科健診の有無などがあります。正しい歯磨き方法とデンタルフロスの使用、バランスの取れた食事、定期的な歯科健診が重要です。これらの要因を適切に管理することで、奥歯を一生失わずに使い続けることも可能です。

奥歯の寿命を延ばすためにはどのような日常ケアが必要ですか?

奥歯の寿命を延ばすためには、以下のような日常ケアが必要です。柔らかめの歯ブラシを使用して正しい歯磨き方法を実践し、デンタルフロスを習慣化することが重要です。また、定期的な歯科健診を受けて初期の虫歯や歯周病を早期発見し、適切な治療を受けます。バランスの取れた食事を心がけ、砂糖や酸性の食品を避け、歯を強化する栄養素を多く含む食品を摂取しましょう。

まとめ

奥歯の健康を長持ちさせるためには、日々のケアと定期的な専門的介入が不可欠です。シンプルだが効果的な日常の習慣から始め、専門家のアドバイスに耳を傾け、必要な治療を適時に受けることが大切です。奥歯の健康は、幸せで活動的な生活を送るための基盤となります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

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