
近年、日本で口呼吸の子どもが増えており、8割にものぼると言われています。なぜそれ程口呼吸の子どもが多いのか、どのような理由で口呼吸になるのかをご説明します。
目次
口呼吸が原因で噛む、飲み込むことがうまく出来ない子どもが増えている
子どもの口呼吸は、今や日本全体の問題になってきています。食べる、飲む、話すといった口腔機能が発達または機能していない状態を口腔機能発達不全性といいますが、口呼吸が原因で口腔機能発達不全性を発症する子どもたちが日本で増えている傾向があるからです。
多くの子どもたちが、鼻呼吸が出来ないせいで、病気ではないのに食べ物を噛む、飲み込むという基本的なお口の機能がうまく働いていないということになります。
口呼吸の身体への影響は?

では、口呼吸をすることによってどんな影響があるのでしょうか?
- 唾液が乾燥してドライマウスになる
- 虫歯、歯周病になりやすい
- 唇の力が弱くなり歯並びが悪くなる
- 花粉症、アレルギー性鼻炎になりやすい
- 風邪、インフルエンザになりやすい
- いびきをかき、睡眠の質が低下する
このように、口呼吸にはデメリットしかありません。
口腔機能低下症に保険が適用されることになった
口腔機能低下症はもともと高齢者に多い症状の一つで、食べ物を噛んだり飲み込んだりする
ことが難しい状態のことをいいます。
高齢者増加の影響もあり、口腔機能低下症がみられる人が増え、医療費の増加の原因の一つとなっています。問題は、口腔機能がうまく発達せず、噛んだり飲み込んだりするのが難しいという症状が、子どもたちの間でみられることです。
子どもたちがこのまま成長すると口腔機能の低下による将来の医療費負担の増加することが予想されます。
2018年の診療報酬改定で、国は口腔機能低下症、口腔機能発達不全性を正式に病気として指定し、保険が適用されることを決定しました。国は子どもに対する口腔機能訓練を推奨し、何とか食い止めたいと考えているからです。
実際の訓練を効率的に行うには、子どもの口呼吸を防ぎ、よく噛めるようにするために何が大切かを保護者の方に十分理解していただく必要があります。
口呼吸になってしまう4つの理由
口呼吸になってしまう理由は、舌やお口の周りの筋肉が十分に発達していないことが考えられます。そのために口呼吸になってしまう理由は次の4つです。
- 離乳食を与える時期が早い
- 前歯で噛ませていない
- 口腔機能の発達を狙った食事がなされていない
- 鼻で息ができないことを理由に、鼻で呼吸をさせていない
口呼吸をどうやって鼻呼吸に変えるの?
口呼吸になっている理由がわかれば、おのずから解決策もわかります。しかし口呼吸が習慣になっているお子さんを鼻呼吸に変えるのは、それほど簡単なことではありません。
口呼吸のお子さんは舌の位置が低くなっている場合が殆どなので、歯科では舌の位置を正常に戻すためのマウスピースを就寝中に使って頂き、同時にお口の周囲の筋肉を鍛えるための、ご自宅ですぐに出来るお口周りの体操の指導も行っています。
まとめ

日本の子供の8割が口呼吸になっていることには、国も問題にしています。口腔機能発達不全性の子供たちが高齢になった時、口腔機能低下症が深刻な状態になる可能性が高いからともいえます。
それを防ぐために、今後は歯科医師も子どもたちの口腔の育成に懸命に取り組んでいくことになります。歯科医院では、舌の位置を正常な位置に戻すためのマウスピースや、口腔周りのご自宅で出来る簡単な体操の普及にも取り組んでいます。