インプラント

インプラントの構造と上部構造について教えて

インプラントの構造と上部構造について教えて

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

インプラントの上部構造についてご説明します。上部構造はかぶせ物のことで、治療後に歯茎から上に出ていて目に見える部分です。白いセラミックやジルコニアセラミックで作られるのが主流です。

インプラントの構造について

インプラントの構造

 

インプラントの構造についてお話しします。
インプラントは大きく分けると、3つのパーツから成り立っています。

  1. 歯の根っこの代わりになるネジのような形をしたインプラント体(フィクスチャー、人工歯根ともいいます)
  2. 上部構造とフィクスチャーをつなぐ土台(アバットメント、土台ともいいます)
  3. 歯の形をしているかぶせ物(上部構造)

歯が抜けてしまった部分に、チタン製のインプラント体を埋め込んで、その上に土台を取り付け、かぶせ物を取り付けると完成です。

インプラント本体を顎の骨に埋め込むためには外科手術が必要ですが、健康な歯を1本抜く程度の身体的な負担ですので、そう大げさな手術ではありません。

埋込されたインプラント体は、4~6週間程度で骨と結合し、しっかりと固定されます。これはチタンという金属が骨と親和性があり、骨と結合する性質を持っているからです。このことをオッセオインテグレーションといいます。

インプラントが何でもしっかり噛めるのは、こうしてインプラント体と骨がしっかりと結合するからです。インプラント体が骨としっかり結合した後は、土台を取り付け、その上にかぶせ物を装着します。かぶせ物はセラミックで作成し、その際には天然の歯と色を合わせて作りますので、見た目は天然の歯と全く変わらず、とてもきれいです。

歯が抜けてしまったあとの義歯を骨にしっかりと固定できるのは、インプラント治療だけです。素晴らしい治療法ですので、歯を失った後の治療の選択肢の一つとして、お考えください。

インプラントの上部構造の材料別の違いについて

インプラントの模型

インプラントというと、どうしても土台の部分について話が行きがちです。自分の歯根が残っていない状態でも、人工的に歯根を作れる画期的な治療法という意味では、土台となる人工歯根に興味がいってしまうのは仕方ないのかもしれません。でも、美しい歯が復活するという点で必要なの情報は、土台にかぶせる義歯の部分の情報かと思います。

セラミック

インプラントの上部構造で多く使われているのが、ポーセレンというセラミックの歯です。これはセラミック製なので強度があり、歯の色も自分の歯に近い感じで作れるため、見た目には義歯とは分からないのが特徴です。

セラミックとは違いますが、レジンと呼ばれるプラスチックの材質でできた義歯もあります。自分の歯の色に近いという意味ではセラミックに似ていますが、歯垢がつきやすく経年で汚れが目立つようになるのがデメリットです。

ジルコニアセラミック

最近になってふえているのが、ジルコニアセラミックという素材でできたインプラントの上部構造です。ジルコニアはダイヤモンドに次ぐほどの強度を持っており、様々な色調がありますので、人工の歯であっても自然に見えます。特に審美面を気にする方にとってはぜひ利用したい歯科材料です。

ハイブリッドセラミック

「ハイブリッドセラミック」はセラミックとレジンとよばれるプラスチックを混ぜて作られます。自分の歯に近い色合いで作る事ができます。ただ、デメリットとして変色の可能性があります。

「オールセラミック」は全てがセラミックでできているため、より自分の歯に近い色合いで、また金属を全く使用しないので金属アレルギーの方にも安心して、ご使用いただけます。

金属

金属でできている上部構造もあります。いわゆる銀歯と呼ばれている「金パラジウム」は見た目は自分の歯とは違って銀色のため目立ちますが、セラミックなどよりは安価な為、奥歯など目立たない場所に選ばれる方もいらっしゃいます。

「ゴールド」は金色で見た目はセラミックより目立ちますが、アレルギーの心配が少なく、硬さも程よく噛み心地がいい素材です。

上部構造のメンテナンスについて

上部構造を装着して噛み合わせの調節をしたら、インプラント治療は終了です。ここからはインプラントを長持ちさせるためのメンテナンスが重要になります。

上部構造は義歯ですので虫歯にはなりませんが、周囲の歯肉が歯周病になってしまうと歯槽骨が破壊され、インプラントがグラグラになってしまいます。インプラントの周囲の歯周組織が歯周病菌に侵されることをインプラント周囲炎といいます。

インプラント周囲炎の予防は歯周病の予防とほぼ同じで、プラークコントロールをしなければなりません。具体的には、毎日ていねいに歯磨きを行うことと、3ヶ月に一度くらいの感覚で歯科医院のメンテナンスを受けていただき、上部構造と隣の歯や歯茎の溝の部分に付着した歯垢を除去しなければなりません。歯周病を未然に防げれば、インプラントは長もちします。

インプラントのメーカーによっては、上部構造がネジ止めされているものがあります。その場合、ネジを外してネジ穴やインプラントの清掃などのメンテナンスを行う場合がありますので、担当医の指示に従ってください。

インプラントの構造と上部構造に関するQ&A

インプラントの構造は何から成り立っていますか?

インプラントは大きく分けて3つのパーツから成り立っています。歯の根っこの代わりとなるインプラント体(フィクスチャー)、フィクスチャーと上部構造をつなぐ土台(アバットメント)、そして歯の形をしたかぶせ物(上部構造)です。

インプラント体はどのくらいの期間で骨と結合しますか?

埋め込まれたインプラント体は、4~6週間程度で骨と結合し、しっかりと固定されます。これはチタンという金属が骨と親和性があり、骨と結合する性質を持っているからです。

インプラントの上部構造の主な材料は何ですか?

インプラント上部構造の主流な材料は白いセラミックやジルコニアセラミックです。

まとめ

インプラント模型

インプラントの上部構造についてご説明しました。治療する歯の場所や予算などによって選ぶ素材は変わってくると思います。見た目だけではなく、アレルギー反応も気になると思いますので担当医とよく相談して選択してください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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